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2006年04月04日
吉備女子(きびなご)について。
鹿児島では知らない人がいないキビナゴ。言い切ってもいい。僕の父親世代の鹿児島人ならたぶんだれもが簡単に手でさばいてみせる。現在でも鹿児島の主婦たちならお手の物だろう。。今日はそのキビナゴについて超詳しく調べてみました。
旬
キビナゴは体側に美しい銀色と青の帯をもつ小さな魚で、産卵期である春先に多く獲れたことから、昔は肥料やカツオ・タイの一本釣り用の餌として、利用されていた。しかし、キビナゴはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を多く含むことから、近年は健康食品としての人気が高く、特に産地である鹿児島では人気が高い。産卵が近づくと群をなして海岸にやってくる。春先から初夏の産卵前が旬である。
命名
九州・四国方面の呼名が和名となっている。漢字の「吉備女子・黍魚子」などは当て字で、呼名の語意とは関連がない。鹿児島南部では「帯」のことを「キビ」というから、小魚の体側中央部の青白色の帯を「帯」とみて「帯の小魚」と呼ぶのであろう。
地方名
『キッポ(鳥羽)』
小魚の意味から「寸魚」の転呼でキッポと呼ぶ。「寸」は古代の尺度の単位で現代の寸にあたる。
『カナギ(九州・山口)』
糸のように細い魚の意味の呼名。古語で「カナ」は糸のことであり「ギ」は魚名語尾。この地方ではイカナゴもカナギと呼ぶ。
『ハマゴイワシ(伊豆)』
春の産卵期に岸近く群がることから「浜魚イワシ」の意。
『ジャムキビナゴ(長崎五島)』
「ジャム」は「ジャミ」の転呼で、極めて小さいものをいう。細身・細魚の意。
『シュレン(奄美)』
呼名の語意は不祥であるが、珠簾(タマスダレ)のように、すがすがしく美しい魚の意であろうか。
『シザコ(種子島)』
イワシの仲間なので「ジャコ」が訛って「ザコ」になった。
英名 Banded blue-sprat,White striped blue-sprat
ニシン目ニシン科キビナゴ属
ニシン科の仲間にはニシン・マイワシ・サッパ・ウルメイワシ・コノシロがいる。キビナゴ属は世界に5種が知られ、日本にはそのうち3種(キビナゴ・バカジャコ・ミナミキビナゴ)が生息する。ニシン科の中でも、とくにスマートな体形の持ち主である。
分布
関東・山陰沖以南・中部太平洋やインド洋に広く分布する。暖海の沿岸から沖合の表層域に生息する。
形態
体は側扁し、細長い。各ヒレに棘はなく、眼は大きくその直径は吻長より長い。側線はなく、尾ビレの後縁は深く切れ込む。腹面に稜鱗がないことで、他の多くのイワシと区別できる。吻端から尾柄まで体側に幅の広い銀色の帯が縦走しているのが特徴で、体長は10cmになる。
産卵
春から初夏にかけて内湾や入江などの静穏域で産卵する。卵は球形で、直径1.2mm前後でイワシ類には珍しい粘着沈性卵。卵の表面には粘着層があり、産み出された卵は沿岸の岩礁や海藻および砂底に付着する。孵化直後の仔魚は全長5mm。
成長
幼魚期は沿岸の浅海域で動物性プランクトンを食べて成長。昼間は水面近くを群泳しているが、夜間は表層から中層に分散していることが多い。また、水深15m前後の砂底より1〜2m上層を10万尾近い群で泳ぐこともあるといわれている。体長5cm程になると沖合へ移動する。生後1年で成熟し、寿命は1〜2年と思われる。
走行性
産卵前後の夜間には港内の外灯や船の停泊灯の下に集まっているが、非常に臆病で人影が動くと敏感に反応して、沖へ逃げてしまう。
デリケートな魚
水族館でも長期飼育に成功した例もなく、大変きれいな水の中でしか生きていけず、その上ほんの1秒でも水から出すとすぐに死んでしまう。ウロコなども人間の手に触れただけでボロボロと落ちてしまうという。
漁法
巻網・刺網で周年漁獲される。特に産卵期には定置網や地引網などでも漁獲される。暗闇に灯を消して出港し、群を発見すると2000ワットの集魚灯を灯す。キビナゴは船の周辺に集まり、グルグルと回り始めると一面が銀白色となる。集魚灯の灯を突然弱めると、キビナゴは狂ったように水面にセリ上がってくる。こうして集まったキビナゴを網で囲んですくい上げる。
鮮度が一番
キビナゴは夕方に餌を食べる。餌は赤い色をしているアミエビで、アミを食べたキビナゴの腹は赤くなる。この色が消えるのは消化が終わった午前3時以降となり、その頃から漁が始まるのもこのためである。腹にアミが少しでも残っていると鮮度落ちが早くなるという。
食べ方
身が軟らかいので手開きにする。まず、全体に塩を振り、20〜30分おいてから、サット水洗いして手開きにする。
獲れたてを刺身にして食べるのが一番美味しい。薬味は生姜がよい。鹿児島では手開きにして菊の花をかたどって並べた刺身「菊花造り」が有名。
天ぷら・唐揚げ・フライなど揚げ物に向いており、丸ごと使うことも多い。唐揚げにしたもので、マリネをつくってもよい。サットと煮付けてもよいし、佃煮・甘露煮にすると日保ちもよい。
塩と薄口醤油で味付けした「すまし汁」はサッパリとした味わいである。また、酢の物にすれば夏の涼しい一品となる。
「一夜干し」したキビナゴを表面が少し焦げた程度(あまり焼き過ぎないのがコツ)のアツアツを食べると腹もほんのり乗ってシシャモに似た味がする。
「すき焼き」(種子島の郷土料理)
小鍋に醤油・ダシ・酒(味醂)などで作った少し濃い目のタレを張り、熱したところに食べる分ずつキビナゴを入れる。煮込まずにサッとくぐらす程度がよい。
旬があるにせよ、鹿児島でも、そして「さつまや」でも一年中新鮮なキビナゴを食べることができます。お越しの際は是非!!
投稿者 さつまやスタッフ : 2006年04月04日 04:47
